2022.09.10中種法のミキシング実験(山食)

eyecatch

2022.09.10-11
中種法のミキシング強度について分からないことがある。
中種、本ごね、それぞれどのくらいの強さでミキシングを行うべきなのだろうか。

【中種について】
1.   本ごねに耐えられる余力を残すために、中種のミキシングは軽くて良いという説。
2. 小麦粉の大半が中種に投入されるので、最初にグルテン骨格をしっかり作っておく必要がある、という説。

【本ごねについて】
1. 中種発酵中にグルテンが引き延ばされているため、本ごねで捏ねすぎてしまうとオーバーミキシングになり生地がダレてしまう。本ごねはパンチくらいの感覚でOKという説。
2. 最終的なミキシングは本ごね時なので、ここでしっかり生地を作る必要があるという説。

そこで今回は
①中種ミキシング弱→本ごねミキシング弱
②中種ミキシング弱→本ごねミキシング強
③中種ミキシング強→本ごねミキシング弱
④中種ミキシング強→本ごねミキシング強

この4種類の方法で食パンを焼いてみることにした。どの方法が良いのか探ってみようと思う。

共通レシピ

前回作ったフルフレーバー法(100%中種法の一つ)が楽だったため、今回もそれで作ってみる。

中種)
強力粉 90%
全粒粉 10%
インスタントドライイースト 0.26%
スキムミルク 4%
吸水 70%
バター 6%

本ごね)
砂糖 8%
塩 1.5%

それぞれの焼き上がりはこちら。

焼き上がり一覧

カット面

ぱっと見て分かるのは、本ごねミキシングが完成時のふくらみに大きく影響するということ。 では、一つ一つ確認してみる。

①中種ミキシング弱→本ごねミキシング弱

画像1

弱・弱

ミキシングが全体的に弱い食パン。
窯出し後の焼減率 6%
カット時の焼減率 9.2%

ふくらみは弱く、焼減率も低くて重たい仕上がり。
山食パンにしては気泡の伸びが小さい。
食べてみるとミッチリ詰まっている感じ。
生地の引きが強い。
手ごねのような雰囲気がある。
むちむち系で、これはこれで美味しい。


②中種ミキシング弱→本ごねミキシング強

画像10

弱・強

画像9

中種が弱く、本ごねが強いミキシングの食パン。
窯出し後の焼減率 6.4%
カット時の焼減率 9.4%

弱・弱よりも焼減率少し高め。弱・弱と比較して窯伸びが大きかった。
食べてみると弱・弱よりもさっくりとした感じ。
トーストにすると軽さが出て美味しい。


③中種ミキシング強→本ごねミキシング弱

画像11

強・弱

画像6

中種が強く、本ごねが弱いミキシングの食パン。
窯出し後の焼減率 7.8%
カット時の焼減率 9.7%
中種が弱いパターンよりも焼減率やや高め。

気泡は小さく詰まっている感じ。
弱・弱のパターンの仕上がりとあまり変わらない。
みっちりしているので弾力があり噛むと戻ってくる感じ。
サクみは少なめ。むっちり系。

これはこれで美味しい。


④中種ミキシング強→本ごねミキシング強

画像10

強・強

画像7

中種がも本ごねが強いミキシングの食パン。
窯出し後の焼減率 8%
カット時の焼減率 10.1%
比較的焼減率は高め。

よく伸びていて見た目からしてふんわり感がある。
強・弱よりも弾力は少ない。
さっくりとしていて美味しい。

焼減率は一番高かったけれど、食べた感じは弱・強とあまり変わらないかな、という印象。

 

感想

本ごね時にしっかりミキシングをして強い生地を作ることが焼成時の窯伸びに大きく影響することが分かった。
中種のミキシング強弱は、窯伸びにはあまり影響が無さそうだ。

ただ、中種を強くミキシングした生地のほうが焼減率が大きかった。
山食にはふんわり感が欲しいので、今のところ「(生地に無理をさせない程度の)強・強」が最適であるという答えにしておこうと思う。

今より香りや味が出る良い小麦粉を使うことになった場合は、ミキシング過多となり風味を損ねることが無いように「弱・強」にしたほうが良いかもしれない。


食パンが大好きだ!
食べ飽きないし、自分で作ったパンは愛着もわくし、なんだかんだで全部美味しく頂きました。
パン作りは楽しい!!


(おまけ)
せっかくなので、それぞれの比較写真を残しておく。

●弱強のほうが弱弱よりふくらむ。



●強強のほうが強弱よりふくらむ。



●強・弱と、弱・弱は同じくらい。



●強強と弱強は同じくらい。